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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

この日の一件以来、私が彼のことを特に意識するようになったのは言うまでも無い。

遊びの約束で顔を合わせるときも、学校ですれ違った時も。今まで以上に意識してしまっている自分が居た。

そんな中、何事もなくクリスマスは過ぎ、新しい年を迎え数日が過ぎた頃。遙からメッセージが送られてきた。


ー 写真展、一緒に行こうぜ ー


それは有名な写真家の写真展だった。写真家ならもちろん知っている写真展。しかし、写真展の開催場所は新幹線で3片道時間かかり、日帰りで行くには少し遠い場所で開催されているものだった。


ー 行きたいんだけど…遠くない?ー


いつも通りのやりとりを交わす。
そう、いつも通りの。友達関係を。


ー 泊まりで ー


彼からの返信は思わぬものだった。その四文字を見た瞬間、少しずつ心臓が高鳴るのがわかった。


ー ユミさんは? ー

ー 興味無いって ー

ー そっかぁ… ー

ー 可奈は行きたい? ー


淡々としたやりとりが続く中、彼の甘い誘惑が訪れた。私の名前の二文字を見るたび心が揺れる。私の心は誘惑に甘い。きっと彼も、それを知っていた。


ー 行きたい。ー


そう返した言葉に、嘘は無かった。
ただ、写真展に行きたい。
それが、遙と行けるなら。
私にとっては、大きな喜びだった。
他人の目など… 関係無い。

これは二人だけの秘密。


ー じゃあ決まり。来週空けといて。ー


そう簡単に、突然に。
私と彼の一泊二日の旅が決定した。


そして、ここから。


ここから、彼との関係が


崩れる始める…ー


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