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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

ホテルへ入ると、彼は宿泊料金と部屋の写真が載った画面をタッチする。初めての私たちは、興味津々になりながら辺りを見回していた。目的の部屋までエレベーターで上がると、ピカピカと光る部屋番を見つける。まるで私たちを歓迎しているかのようだ。

扉を開け彼が部屋の中へと入ると、私も続けて部屋の中へと入った。


『 うわー!!広っ!てかベッドデカッ!』


先に入った遙が大きな声を出す。
私は遙の後を追うように、靴を脱ぐと部屋へあがる。


「 わ… ほんと。広いしテレビも大きい! 」


そこには普段宿泊するホテルとは桁違いの景色があった。広々とした空間に大きなベッド。大きなソファに大きなテレビ。私と彼は部屋を隈なく散策する。


『 やべー!風呂もめっちゃ広いんだけど!』


嬉しそうに…楽しそうに笑う彼の元へと近づき、浴室を覗き込むと、ゴージャスな雰囲気の浴室が広がっていた。


『 やっぱすげーなー 』


そう言葉を零した彼は浴室からベッドの部屋へと戻ると、着ていたアウターを脱ぎ始める。私も彼と同じ様にアウターを脱ぐと、私のアウターと遙のアウターを用意されていたハンガーに掛けた。

アウターを脱ぎ身軽になった遙は大きなベッドへとダイヴした。その様子を笑いながら私は見ていた。


私がソファに腰掛けると、静かな沈黙が訪れた。


ベッドにうつ伏せになっていた遙がチラリと私の方を向き大きな瞳が私を捉える。そして先に口を開いた。


『 風呂入れば? 』


以前にも聞いたことのあるフレーズだった。
けれど、少しだけ私の心臓はドキッとした。

きっと。そういう場所だから。

私は小さく頷くと、入浴の支度を始める。

チラリと彼を横目で見ると、スマホを片手にベッドの上で優雅に寝転がっていた。

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