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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

腕の力が抜け、ダランと垂れ下がる。
私の腕から遙の手が離れたかと思うと、彼は私の髪を撫でる。
その行為に私の身体はピクリと震えた。
彼の口づけは、濃厚になってゆく…
ツツッーー っと彼の舌先が唇を破り侵入してくる。
その舌先に応えるかのように、私の舌先は彼へと絡みついた。
チュプッ … っと音を立てて唇を離す彼。
私のモノか。彼のモノか。
蜜が糸を引き、キラッと煌めいた。
『 はっ… 嫌そうじゃないけど… 』
小さく吐息を吐くと、私を見つめながらそう口にする彼。目元と頬は緩んでいる様子だった。
「 だっ… ダメだってば… 」
『 … どうして? 』
いつものキョトンとした顔で首を傾げる彼。けれど、どことなくいつもよりか優しい表情をしている。
「 … ユミさんが…いるでしょ? 」
その問いに、遙は口を噤んだ。
彼の表情はまさに、" 無 " だった。
そう、遙には彼女がいる。
だから失態なんて許されない。
それは、私も彼も重々承知していた。
『 ごめん … 』
小さくそう呟いた彼。
伏せ目がちに身体を離した。
そして彼はベッドを降り、ソファへ腰掛ける。
その様子を 私はずっと見つめていた。

