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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

『 … ごめん 』
ソファに腰掛け、再びそう呟く彼。
「 私こそ… ごめ … 」
そう謝ろうとした瞬間。
バチンッと 打撃音が鳴り響いた。
驚き、彼の方を見ると、彼は右腕で自分自身の頬を容赦なく殴っていた。まるで、自分の彼女の浮気相手を殴り倒すかのように。
「 ちょっ… ちょちょっと…! 」
思わず彼の元へ駆け寄り、殴っていた右手を抑え彼を抱き締める。
本能のまま、動いた結果だった。
彼をギュッと 抱き締める。
その瞬間、彼の右腕は力を失ったようだった。
『 ごめん… 俺、可奈のこと… 』
そう言って私の顔を見上げる彼。
少しばかり泣きそうな表情をしていた。
『 俺 … 可奈のこと … 好きだ。』
『 でも … こんなの最低だ … 』
その言葉を真っ直ぐに私へと投げ掛ける。彼は困ったような表情で私を見つめる。それはまるで、少年が迷子になったような表情で。
その表情が、とても愛おしく感じた。
私のものに… なればいいのに… と。
「 … わたしも ハルくんの事が… 好きだよ 」
そう返すと、彼は視線を逸らす。
きっとユミさんのことも… 愛していたから。
その姿に、思わず彼をギュッと抱き締めた。
私は … 彼のことを手放したくなかった。
恋人じゃ無くてもいい。
彼との関係が離れてしまうのが一番嫌だった。
だから、私は決意した。
" 私が "
" 彼に "
縋り付く事を。
「 ハルくん … 好き 」
「 貴方は … 悪く無いから … 」
「 … 私から離れていかないで 」
そう言葉を続ける。
彼との繋がりを、手離したくない一心で…

