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最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

気が付くと私は彼の腕の中で目を覚ました。
ハッとして時計を確認すると、まだAM5:00を過ぎたところだ。布団を被っている私と彼はまだ服を着ておらず、ベッドシーツにバスタオルが敷かれている。

彼の細く締まった腕が私の首元へ伸びていて、腕枕をしてくれている。裸体の彼は、本当に美しく先程までの色っぽさが残っていた。

スヤスヤと眠る彼を横目に、瞼を閉じる。
私と彼の行為は、決して夢ではなかったと確信して。
そして私は再び夢の中へと堕ちた。


ーーー



私は夢の中で、誰かを追いかけていた…ー

走って … 走って …

手を伸ばせば 届くはずなのに …ー

私の手は 空回りを繰り返す …

懸命に走っている途中私は躓いて身体が転げた。痛みはなかったが、追いかけている人が視界から外れ慌てて顔を上げる。そして私はギョッとした。

" 何してるの貴女 "

その言葉と同時に私を睨みつけている女が立っていた。まるで追いかける私を阻止するかのように…ー




ーーー


ビクリと身体を震わせて、再び夢から醒めた。そこは見覚えのある天井。隣には綺麗な顔で眠っている彼。ホッと胸を撫で下ろし時計を見ると、午前8時を過ぎたところだった。

そろそろ起きなくては、と思いながらも彼の頬をそっと撫でる。すると横で寝ている彼は " んんっ… " と声を漏らし、薄く瞼を開けた。

「 … おはよ 」

小さく囁くような声をかけると彼は寝惚けたように微笑み、まるで子供のようにムニャムニャと起きるのを駄々こねる。私の首に伸ばしていた腕を私の背中へとまわすと、ギュッと抱き着いてきた。

まるで子供の様な… 小動物のような彼の行動にキュンとする。あぁ、私は彼の事が本当に好きなんだ… と確信したのかもしれない。

抱き着いた彼は、まだ裸のままの私の身体にキスを落とす。寝ぼけ眼になりながら、まるで愛している人にキスをするように…


彼の " 愛している人 " …


さっき夢の中に出てきた女の顔が浮かび上がり、胸がギュッと締め付けられた…ー


私は、罪を犯した …ーー


彼に、罪を犯させてしまった …ーー

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