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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
夏であろうが冬であろうが──
嫌だ嫌だと言いながら人は恐い話しが大好きだ。
そういうわけで──
今回のプロジェクトの見出しはこれだ!
“大人も子供も夢中になる!恐怖と謎と大冒険!ホラー・ミステリーツアー!”
村全体がお化け屋敷やミステリースポットとなって謎解きや宝探しにも挑戦できるようになっている。
人の興味を煽るのに大掛かりな機械や高い予算を掛ける必要はどこにもない。
この企画に携わってもらったシナリオ作家は打合せ時にこう口にした。
「……入り込んでもらいましょう……お客様自ら恐怖の世界に……ヘッヘッヘ…」
「……お、お客自ら?…っ…」
会話よりもあまりにも気味悪いその作家の雰囲気に、晴樹は唾を飲みながら聞き返した。
「ええ、ほんの少し…“きっかけ”を与えるだけで……人は勝手に想像し……勝手に自ら描いた物語に飲まれていきますから……ヘッヘッヘ…」
「……っ…」
「ちょっとしたきっかけで……心理は勝手に恐怖の世界をさ迷います……ほら…」
そう口にした作家は晴樹の背後を無言で指差した──
目を見開いたその表情に晴樹はゾクッとして後ろを咄嗟に振り向く。