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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
「…ヘッヘッ…なんでもありません…」
「──っ…」
なんだこいつ…っ
微妙にムカつく…
簡単に騙された晴樹を笑うと作家は言った。
「鳥肌たったでしょ……」
「………」
「何も言ってないのに勝手に恐いものを想像したでしょ……」
「はあ、……まあ…」
認めたくないけど言われた通りだ。
「その想像力を掻き立ててあげればいいんですよ……」
「………」
「そしたらそのお客様にとって一番恐いことを勝手に想像して楽しんでくれます……これが恐怖を楽しむ醍醐味です……ヘッヘッヘ」
「……よく…わかりました…」
「そうですか……あ………」
「……っ…」
作家は晴樹の背後をまた指差した。
恐さを感じたのは確かだ…
そして、さっきと同じ動きをする作家に晴樹はひそかに青筋を立てていた。
大掛かりな仕掛けは必要ない。体を使って体感してもらう。
恐怖を味わい謎を探求し、解決する達成感。
飽きられない心理ゲームを提供し続け、次のリピーターに繋がるように……
仕掛ける側である晴樹は苛立ちもすれどこの作家に小さな期待が膨らんだ。
とにかく現地に着いたら見に行こう……。
田舎に着いて荷物をホテルに預けたらツアーは直ぐに開催される。
生徒にはリクレーションが行われるとしか、林間学校のしおりには記されていない。
晴樹は皆の反応を楽しみにしながら、車窓から流れる景色に目を向け頬を緩めていた……。