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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
正気に戻った夏目は取り繕いながら慌てて苗に訊ねた。
「…っ…な、苗のところは何だった」
「人参だって」
「人参?こっちは玉葱だって」
クジで当てた食材を報告し合う。それぞれのチームが材料を手に入れられなければまともな夕食の用意が出来ない。
キャンプの醍醐味は皆で作る料理だ。
「Aチームは牛肉って言ってたよ……」
由美が仕入れた情報を口にすると苗は呟く。
「……て、ことは……カレーライス…」
「だね……」
苗と由美は何故か見つめ合い頷き合った。
そう。キャンプと言えばカレーライス。
誰が作っても美味しいカレーライス。
何か特別な事件が起きない限り、そう簡単には失敗しない“カレーライス”だ。
皆で作って皆で食べるカレーライスは最高だ。
「カレー……いいじゃん!!」
カレーの幻が早速夏目の頭に浮かんでお腹が空いてくる。
美味しいカレーライスに思わず顔が緩む。その時、誰かが叫んだ。
「糸こんにゃくって書いてるぞ!?」
「ええっーー…糸こん!?」
苗は驚いて叫んだ。思わぬ食材の登場に思いきり裏切られた気がする。
食材に糸こんにゃくが含まれる料理ってなんだ?
苗達だけではなく、その言葉に生徒皆が驚きながら料理を考え直していた。
玉葱、牛肉、人参とくれば当然カレーライスだと思い込んだ人がどれだけ居ただろうか。
カレーが頭から離れず皆が悩む中、次々に各チームがクジで食材を引き当てていく。