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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
「…うあ…っ…さと…」
何かを言い掛けた苗の口が開く。それと同時にぎゅっと強く瞼は閉じている。
そんな苗の耳元にくすっと笑う声が聞こえた。
「何もしないよ」
「え?」
驚いて目を開けば近距離にいる悟の腕が苗の後ろに伸びていた。
「倒れたから起こさないと」
そう言った悟の指先が模型のベンチに腰掛けさせたドングリを立て直している。
苗はそれを見てホッとした表情を覗かせながらもムッと口を尖らせていた。
「なに?なんで怒ってるの?」
「怒ってないだよ!べつに……」
言いながらプッと頬が膨らんでいる。微かに顔を赤くして、苗はプイッと横を向いた。
「なんかもうほんとに…」
ブツブツとそんな言葉が聞こえる。
高校生になった悟は何だか接しにくくなった気がする。
背丈は当たり前に伸びて、骨格もかなり太くなり、その上変な色気も出てきている。
“もう悟「ちゃん」なんて呼べないわね”
そう言ったオカンの言葉が苗の記憶に甦っていた。