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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
「消えたって……」
晴樹は口に手を当てて呟く。
「わかった…っ…ちょっと探すからお前はそっちを頼む」
電話を切った晴樹の額には焦りが浮かんでいた。
モニターに映らないってことは、モニターのない死角の場所を探した方が早い。
機械を設置した場所なら頭に入っている。晴樹はそう考えながら苦い表情を浮かべた。
失敗した……。
こんなことなら苗だけ参加させずに傍に置いて置けばよかった……
ビジネスとして取り組んでいた計画に後悔の念が湧く。
客としての反応を窺うのなら、他の生徒達だけでも十分にデーターは取れた筈だ。
まさかこんな簡単な作りの建物で人を、しかも苗を見失うことになるとは思わなかった。
晴樹は暗幕を捲って回りながら苗を探す。
そんな晴樹の耳に聞き覚えのある声が響いていた。
暗幕の向こうでガラッと開いたドアから外の明かりが漏れる。
その明かりに紛れ、笑顔を浮かべる悟と何故か怒り顔の苗が姿を見せていた。
「あれ、兄さん」
探し回った晴樹の気も知らず、苗は晴樹に気付き、能天気に呼び掛ける。
「……っ…どこに居たんだお前ら」
夏目とはぐれ、一人で迷ってると思ったからすごく焦ったのに、一緒に現れたのがよりにもよって悟とは──。
晴樹は二人を見つけた早々表情を険しくしていた。