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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
悟は校舎の出口に向かって歩く。強い足取りが悟の憤りを物語る。
“苗には”
苗には何って言いたい?
手を出すな。か?
冗談じゃない…っ…
手を出されたのも獲られたのもこっちだ……
苗を守るのも……俺だっ──
校舎を出れば、校庭では夕食の準備が始まっている。
各班が手に入れた食材で色々な料理が出来つつあるようだ。
無事に戻った苗と楽しそうに料理をする夏目。
そして、苗から離れた位置で自分達の役割をこなす悟。
晴樹は遠目にその様子を見つめため息を吐く。
苗がこの学校を怖がっていたなんて初耳だ。
もちろん情報の漏洩を防ぐ為に、苗にもこの企画は伝えてはいなかった。
「はあ…」
「大丈夫ですか?晴樹さん…」
「ああ、なんとかな」
ツアーは上手くいったものの、何処と無く気落ちしている晴樹を直哉は気に掛ける。
「夕食が済んだら苗さんと一緒に居たらどうですか」
「ああ、そうだな」
機嫌を損ねたままだ。意地を張るよりは早いうちに謝った方がいいかも知れない。
そう考える晴樹に直哉はそっと缶詰めを手渡した。
「なんだこれは?」
「仲直りのアイテムですよ」
「もも缶がか?」
「もらって喜ばなくはないと思いますよ」
「………」
こいつ……人の奥さんをなんだと思ってんだ?
そう白い目で直哉を見たが、取り合えず晴樹は黙ってもも缶を受け取った。