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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
沢山のテントが並ぶ合間を二人は縫うように歩いていた。
灯りが点るテント内からは賑やかな声がしてくる。普段は経験することのないテント暮らし。
金持ちの御子息、御令嬢にとっては自分達で作った料理やテント張り。全てが新鮮で楽しい経験だ。
テントで過す夜を満喫しながら、生徒達は懐かしいボードゲームやトランプといった昔ながらの遊びを堪能していた──。
「やりい!いっち抜けたー!」
夏目は手持ちのトランプを捨てるとパタッと倒れた。ババ抜きで一番に上がった夏目は身体を起こして周りを見る。
「なあ、ところで克也はどこ行った?」
「夕食済んで直ぐ彼女に逢いに行ったよ」
「なにっ!?」
トランプをしながらモビルスーツオタクのやっちんは答えていた。
「あいつ抜け駆けかよ…」
夏目は親指の爪を噛んで克也を羨む。
抜け駆けも何も彼女である由美とただ一緒にいるだけだ。
だが、絶賛失恋中でフリーの夏目にしてみれば、恋人と上手く行ってるやつ皆が妬ましい存在だ。
「俺もっ…彼女に逢いに行こっと!」
急にすくっと立ち上がると夏目はそんな妄想を口にしてテントから出て行った。