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君に熱視線゚
第53章 恋の修羅場ラバンバ!
キャンプコースの生徒達も食事の後片付けを済ませ、校庭に張ったテントで自由な時間を過している。
辺りはだいぶ暗くなっていた──。
「苗……」
テントの外からこっそり声を掛けられて、苗は振り返った。
「なに?どしたの?」
入り口から顔を出せば悟の姿が見える。
悟はテントから出てくるように手招きしていた。
「なに?」
「あそこ行こうよ」
「あそこ?」
ピンとこないままの苗の手を握ると悟は歩き出していた。
「どこいくだかね?」
「ホタル池」
「ああ!あそこか」
行き先を知って苗は懐かしい表情を浮かべた。
梅雨前の丁度今が見頃だ。
帰郷が真夏になるために、都会に引っ越してからは苗も全く見ることが出来なくなった蛍の姿。
「まだホタルたくさん飛ぶ?」
「飛ぶ飛ぶ!あそこは蛍の名所でも紹介されてないから人も来ないし。静かだから毎年沢山飛んでる」
悟は苗の手を引きながらそう口にしていた。
公民館の裏手にある、清んだ湧き水の池に集まる無数の蛍。
小さい頃は二人でよく見に行ったものだ。