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君に熱視線゚
第20章 大切な人[後編]
元、料理人の本能がそうさせるのか‥
お持て成し用の豪勢な料理は彩りよく、脇には青紅葉を飾るなどして粋な心使いが成されていた──
「どうも、
この度はわざわざご足労頂き恐縮致します!!」
血だらけの組員を蹴り倒していた恐モテ顔の男が深々と頭を下げて貴志達を出迎えた。
「あぁ‥武サン。
なんか予定が狂ったみたいで…もう一度、叔父貴とも話合いの場を儲けてもらえる?」
「はぃ、もちろんです」
貴志が話かけていると、組員が会釈をして、コソッと武に何かを伝え去っていく‥
「では、支度が整いましたんで部屋にご案内を‥」
案内されるまま部屋までの廊下を歩いていると、奥の間に続く渡り廊下には組の若い衆がズラリと肩を並べ挨拶を返していた。
貴志達はその中を進み、晴樹も後に続く──
晴樹はガタイのいい武の後ろ姿をずっと見つめていた…
貴志と武の意味深なやりとりよりも晴樹が一番気になったのは、武の一張羅に付着していた血痕…
晴樹は血痕に対して過剰に反応してしまう
どうしても不安が拭えない‥
晴樹の表情はずっと感情を押し殺したままの状態だった