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君に熱視線゚
第43章 距離…

晴樹にとってそれは世界の終わりとなんら変わりはない。


そのくらい晴樹にとって、苗の存在は大きかった…


夏目が告って付き合い始めた時とは訳が違う‥
今度は明らかに苗が…

夏目を選んだ──


〃大ちゃんの方が‥〃

苗の口からはっきりそう‥聞かされた


「――ッ‥苗っ」


携帯で夏目と楽しそうに話す苗を思い出し、晴樹は痛む胸を鷲掴むっ


自分と居て沈んでた筈が夏目からの電話を受けた途端笑顔を浮かべ明るい声で話す

あの変わりようは明らかに夏目に気がある

俺より‥夏目に──



自分の好きな娘が恋をした‥

自分ではない相手にッ

「どうすれば‥ッ‥」


消えそうな声で晴樹は呟く

‥こんな時どうしたら…

楽になるんだ…


どうすればこの痛みから逃げられる!?


願えばいいのか!?

好きな娘の想いが叶うように?

晴樹は心で葛藤を繰り返す‥

偽善者になりきれってか?


「‥ッ‥偽善か

そりゃ無理だ‥っ」

到底無理な自分に薄い笑いが溢れ、細めた瞳からは感覚の麻痺した涙腺が水滴を吐き出す‥


偽ることのできない想い‥



ベッド際の白い壁は、キラキラと滲む涙で水晶を覗いたように輝き晴樹は静かに息を吐いた‥



正直過ぎる想いはコントロールが効かない‥



誤魔化しの効かない想いだから…


想ってるだけでは満足できない自分を知ってるから…


妙な無茶をする前に…

大好きな苗を傷つけてしまう前に──


晴樹は苗から遠ざかるしかなかった…。

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