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君に熱視線゚
第5章 ザ・田中家
苗は晴樹にそう伝えながら台所に戻り、再び戻ってくると手には大きな中華鍋を抱えてきた。
「ハイハイー 危ないから下がっててよ〜」
苗は温めたプレートに鍋の中身を移し変える!
部屋の中は濃厚なソースの香りが充満し空腹のお腹をいっそう唸らせていた。
二つのプレートには塩味とソース味の二種類が用意されている‥‥‥
そう、今夜の夕飯は焼きそばだった…
てんこ盛りの焼きそばも、育ち盛りの三つ子達‥そしてじいちゃんばあちゃん達にみるみる間に片付けられていく!
「兄さん!!ボーっとしてたら喰いっぱぐれちゃうよ!!」
「えっ?あ、あぁ…」
呆気に取られていた晴樹は苗に急かされ慌てて焼きそばを頬張り始めた!
まさに弱肉強食。
そんな、言葉がぴったりの田中家の食卓だった‥‥
「ぐっ‥ぶほっ…ゲホッ!」
慣れない早食いに晴樹は咳こむ。
真っ赤に息詰まる晴樹に苗は水を差し出した。
‥飯を食うのにこんな苦しい思いをしたのは初めてだ──
晴樹はそう実感しながら水を飲んだ。
カルキ臭い水道水も今は命の水に思える‥‥‥
ただ、考えてみたらこんなに必死で食べなくても家に帰れば食うものはいくらでもあるはずなのに…