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君に熱視線゚
第51章 番外 後編


「終わったらお茶煎れてやる」


「お茶……もしかしてここで立てちゃうかね」


「まさか。普通に煎れるよ」

苗はホッとしていた。

東郷家でお茶と言われると態々茶室に呼ばれて受けるはめになる。

今までがそうだった為、悟のお茶の誘いに苗は敏感に反応していた。


…だいたい、あーんなちっこい和菓子一個で何分お茶を待たなきゃなんないだかねっ…んとにもうっ…


口を尖らせて段ボールを縛る苗を悟は笑いながら見ていた。

「苗の好きな“餅まん”もあるから」

「うそ、餅まん!?」

苗の目がキラキラしていた。

苗の田舎の駅にしかないお土産。“餅まん”モナカの皮に豆大福を挟んだだけのシンプルな饅頭なのだが、苗の大好物でもある。


付き合いの長い悟はしっかりと苗のツボを押さえていた。

鼻唄を歌い出した苗は手際よく段ボールを纏めてとっとと片付けを済ませる。

「いただきっ!」

ウキウキしながらお茶が並ぶソファに座った苗の隣に、悟も腰を下ろした。

やたらに距離が近い。

だが苗はそんな事は気にも止めず嬉しそうに餅まんを頬張る。

悟は肘を長い脚に当てると頬杖をついて苗を見つめた──


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