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君に熱視線゚
第51章 番外 後編
「いま、田舎から届いた“餅まん”食べてるんですよ」
「餅まん?…」
「ええ、苗の大好物です。な、苗!」
「う、うんっそうなんだょっ……苗の大好物でさっ…──!っ、ぅあっ…」
…ぅあっ…?
堰切って話す苗の語尾の声に晴樹は引っ掛かる。
苗は思わず漏れた声を止めるように自分の口を手で塞いだ。
「これ、すごく美味しいんですよ…モチモチしてて…」
「──…!」
電話口からピチャリと濡れた音が晴樹の耳に届く。
口を塞いだ苗の頬っぺたに甘く噛みつきながら、悟は晴樹を静かに挑発していた。
「なえ…」
晴樹は悟を無視して苗に話し掛けた。
「手伝い済んだならっ…茶菓子なんか食わずにすぐ帰れっ!!──」
「はいっっ!」
苗はその言葉に返事を返して立ち上がると一目散に玄関に向かう。
悟は溜め息をつくとそんな苗に笑みを浮かべて頭を掻いた。
玄関に座り込み靴をもたもたと履く苗の肩を悟は叩く。
「苗、これ」
「──っ」
またっ──…
振り向いた苗はしゃかんだ悟にまともに唇を奪われていた。
「新商品だから皆で食べて」
唇を放して笑顔を向けると、悟は何事もなかったように苗に抹茶味と書かれた餅まんの包みを手渡していた。