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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜


ムードもへったくれもない。

そんなことは初めから期待もしていない。

ただ好きだ

そしてすごく可愛くて愛しい──

晴樹は相変わらずな苗に安心しながら抱き締めて首筋にキスをする。

「ちゃんと触ってろ」

「ええっ…そんなっ」

抱き締めながら愛撫を繰り返す晴樹の下半身から手を離しかけると、晴樹はその手を掴んでぐっとしっかり握らせた。

「なんでそんなに嫌がるんだよ?愛する旦那のだろ」

「そっ…そうだけどっ…」

否定はしない。愛してることは認めてる。晴樹を好きだとやっと自覚した苗はそのことに関してはやけに素直だ。


「なら久し振り帰ってきたんだからちゃんとしろよ…」

「ちゃ…ちゃんとって…っ…」

どうちゃんとすればいいのだろうか?

旦那が求めるならばそれに応えるのが妻の努めってことなのか。

“浮気か離婚……”

「……っ…」

苗は初夜の日に逃げ出した自分にそう突き付けた晴樹の鬼のような二択を思い出し、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「わーっ…ちょ…兄さっ…わかっ…わかったから…待って、ここ玄関っ…」

スカートの裾をめくりお尻からパンツの中にスルリと潜り込んだ晴樹の手の動きに苗は大声で慌てて返していた。

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