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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜

やっとの想いで気持ちが通じ合った──

その途端に渡米して離ればなれだ。婚約こそしては居れど、まだ恋人同士として過ごした日々は数えるくらいしかない。


「なえ……」

晴樹は急に切なさが込み上げて苗の名前を口にする。

たんに便利な面倒見のいい兄さんとしてではなく、はっきりと男として意識している表情。それを前にして晴樹は込み上げた想いを熱いため息に変えた。

胸が痺れ、名前を囁いた唇をゆっくりと苗に押し当てる。

少しずつ食んでいくキスを繰り返し、晴樹は苗の柔らかな唇を甘く噛んでいた。

晴樹は苗の頬に手を添える。

「…なえ…あんまり大人しいと調子狂う……」

「ん……」

言った言葉を理解したのかしていないのか、答えにならない返事が返ってくる。

苗は明らかに“その気”になり始めている。

潤んだ苗のくり目が晴樹の理性をなし崩す。

「──…っ…」

晴樹は胸にたまった強いため息を吐き出した。

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