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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜
「苗……手伝うことある?」
「え?ないよ」
「皿洗おうか…」
「いいだよ、先に帰って勉強しなよ? 悟ちゃん、学年一番で居なきゃだめなんだからさ」
「………」
皿を洗う苗の背中を悟は見つめた。
「首席で居なきゃ田舎に戻る約束だっただよね?」
「うん…」
「教科書貰ったばっかだから予習でもしてればいいじゃん」
「……うん」
「ね!…って、悟ちゃん近っ!?…」
横を振り向くと悟の胸元が視界を塞いで苗は焦った。
「……っ…」
「苗…」
悟は急に苗を背中から抱き締めていた……。
悟は耳元で囁く。
「俺が傍に居た方がいい?……」
「……えっ…」
「向こうに戻らない方が苗は嬉しい?…」
「…う……」
苗は言葉に詰まった。
すがるように弱々しく抱き締めてくる悟にどう答えていいか迷ってしまう。
傍に居ない方がいい とは言えないし、向こうに戻った方がいいとも答えられない……
こ、…っ…これは困った…っ…
苗は見えない汗をかく。
こっちに来てからの悟は晴樹と張り合う程に危険な香りが漂う。