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君に熱視線゚
第52章 君に熱視線゚〜愛の鈍行列車〜
晴樹はもう一度大きな溜め息を吐いた。
「はあっ…やっぱいい、疲れた!考えたら俺、今日こっちに着いたばっかりだわ…もう先に寝るからな!」
何かと夫婦の営みを避けようと模索する苗をベッドに引き込むにはこうするしかない。
わざとらしく疲れを漂わせ、諦めたように仰向けに寝返ると晴樹はそのまま静かに様子を伺った……。
カタッ──と、物音がする。
暫く目を閉じて眠ったフリをする晴樹の真上が暗くなる。
明かりの眩しさが和らぐすぐ側で、苗の気配を感じた。
覗き込んでホッとしている苗の様子を感じる。
寝室を立ち去り洗面所で水を出す音が聞こえてくる。
晴樹はニヤリと口を緩めた。
顔を洗って戻ってきた苗が寝室の明かりを消してゆっくりとシーツを捲っている……。
フカフカの枕にぽすっと頭を預けると、苗は安心しきった笑みを浮かべて目を閉じた。
はあ…やっと寝れるだよ。
「──…!っ」
そう思った途端に身体に重みを感じた。
苗は恐る恐る、目を開ける──
豆電球の微かな明かりの中に、ぼんやりとした人影が見えてくる。
それはとても妖しい笑みを浮かべていた…。