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エメラルドの鎮魂歌
第5章 青い鳥の唄
「…それを好きと言うのだよ」
穏やかな優しい声が重なった。
「…え?」
魅力的な人好きのする瞳には、大人の慈しみの色が濃く映し出されていた。

「…けれどそれはどうやらプラトニックな愛のようだ。
君が郁未くんを見つめる眼差しは、まるで幼い子どものようだよ。
君は父性愛の温もりを求めているのだな。
色恋のそれではない」
はっきりと断言され、藍はむっと口元を歪める。
「何で分かるんだよ⁈」
青山の逞しい腕が藍のまだ少年の幼さが残るそれを大胆に引き寄せる。
「…なっ…」
「君は郁未くんを抱きたい?…或いは抱かれたいのか?
性的な欲望を持ったことはあるか?」
藍は遮二無二暴れる。
…だが男の力は強くて、びくともしない。
「あるわけない!ふざけたことを言うな!嵯峨先生を穢すな!馬鹿オヤジ!」

青山の腕が藍を抱き締め、その小さな美しい貌を自分に向かせる。
…そうして、唄うように美しいバリトンで囁く。
「相手の秘められた心と身体を見たい…自分だけに見せる貌を見たい…泣かせたい…乱れさせたい…淫らな姿を暴きたい…。
その熱望と欲望の塊…。どうしようもなく暴れ出す心の叫び…。
それこそが恋なのだよ」

…男の凛々しく…けれどどこか哀愁を帯びた甘い美貌が近づく。
「…君はまだ何も知らない。…愛と恋との区別すらも…。
…それを私が教えてやりたい…」
「…や…め…」
甘い呪文に罹りたくなくて、藍は必死で男の分厚い胸板を押し返す。
…けれどそれは、微動だにしない。

「…私が君に一から教えたい。…いや、与えたい。
…愛の温かさと穏やかさと…恋の甘さと切なさと苦さ…苦しさ…。そして、それに優る幸福感と快美感を…。
…藍…私は君が、可愛いのだ」
男のやや肉惑的な唇が唇に掠めそうになり、藍は観念したように目を閉じた。

…が、その唇はややもして、そっと綿毛のような感触を額に残した。

恐る恐る目を開いた。
男の悪戯めいた黒い瞳が微笑っていた。
「…私は紳士だ。子どもに力尽くで行為を迫ったりはしない。例えキスだけでもだ。
…君が自分から私を求めるまで、私はただのパトロンで良い。
どうだ?私の家に来てみないか?」

安堵と虚脱感と…そして僅かに肩透かしを食らったような感情を覚え、そんな自分に腹を立てる。
「誰が行くか!ふざけんな!このエロじじい!」

青山が高らかに笑ったのは、言うまでもない。


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