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エメラルドの鎮魂歌
第6章 招かれざる訪問者
「瑞葉様、どこにいらしていたのですか?
ずっとお探ししておりましたよ」
玄関に飛び込むなり、待ち構えていた八雲の端正な貌に浮かぶ焦れたような表情を見て、瑞葉は思わず座り込んだ。
息を弾ませ、身体を震わせる瑞葉に八雲が素早く近づき、抱き上げる。
「お苦しいのですか?心臓の発作がまた…」
瑞葉がはっと我に帰り、慌てて首を振る。
「だ、大丈夫…なんともないよ…」
疑い深く瑞葉の清らかな白い額に手のひらを当て、八雲は重ねて尋ねる。
「お貌の色が良くありません。
走っていらしたのですか?お外で何かありましたか?」

…先ほど出会った若い男の姿が思い浮かんだ。
反射的にふるふると頭を振り、ぎこちない笑みを作る。
「何でもない。
…バロンを散歩させていたら…な、何か狐みたいな動物が飛び出してきたから、びっくりして帰ってきたんだ…」
八雲は険しく寄せた眉根を解き、ふっと微笑った。
「…狐など怖くないではありませんか。
瑞葉様の襟巻きにもなっているのですよ」
八雲が疑いを解いてくれたことに、とりあえず安堵する。
「…急に出てきたから…。
バロンも逃げ出すし…追いかけるのが大変だった…」
ホール中を無邪気に駆け回る白い子犬を見て、言い添える。
八雲はその長く逞しい腕で軽々と瑞葉を抱き上げた。
そうして、視線を合わせながら優しく諭す。
「今日は使用人の休日ですから良いですが、お外に出る時は充分にお気をつけ下さい。
…誰に貴方の姿を見られるかわかりません。
特に…」
頬に纏わりついた美しい金色の髪を愛おしげに直しながら、囁いた。
「…歩いている貴方を見られたら…大変なことになります…」

…若い男の熱い眼差しが脳裏に蘇る。
触れ合った手も…。
眼差しと同じくらいに、熱い手だった。

瑞葉はぞくりと背筋を震わせると、八雲の首筋にしがみついた。
「…部屋に連れて行って…。
…それから…僕を愛して…たくさん…」

八雲の手が強く抱き返される。
「…かしこまりました。瑞葉様」
早くも細いうなじに熱い口づけが落とされる。

「…あ…っ…や…くも…」
瑞葉の身体は蜜に浸された砂糖菓子のように脆く崩れ…二人は夕陽の差し込む大理石の上で獣のように愛し合う羽目になった…。

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