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エメラルドの鎮魂歌
第6章 招かれざる訪問者
有島の死体を埋める手伝いを、瑞葉はした。
八雲はしなくて良いと言ったが、瑞葉は首を振った。
八雲だけの手を汚させるのは嫌だった。
自分の手で、有島を埋めたかった。
二度と後戻りできないことを、自分の手で感じたかった。
瑞葉の白く華奢な硝子細工のような手はあっと言う間に土と泥で黒く汚れた。
必死で土塊を掴み、有島を埋める。
早く埋めないと、有島が生き返りそうで怖かった。
…最後の土を掛け終えたあと、瑞葉はもう立ち上がることもできなかった。
八雲の逞しい腕が黙って瑞葉を優しく抱き上げた。
「…帰りましょう。瑞葉様…」
鼓膜に響く美しく優しい声…。
瑞葉は首筋に腕を絡め、強く抱きついた。

「…寒いよ…八雲…。温めて…」
…返事の代わりに、その震える冷たい唇を八雲は塞いだ。
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