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エメラルドの鎮魂歌
第6章 招かれざる訪問者
「…瑞葉…!」
八雲の美しい瑠璃色の瞳が、感極まったように細められた。
瑞葉は男に抱きつき、自分から口づけをする。

…男の熱く硬い牡が瑞葉の薄い下腹部にきつく押しつけられる。
そのままゆっくりと擦り付けられ…そこから湯以上の熱が沸き起こる。
「…ああ…」
瑞葉は切なげに吐息を漏らしながら浴槽内に跪き、男の牡に貌を近づけた。

…八雲の牡を、こんなにも真近で見たのは初めてだった。
象牙色の肌の色よりやや濃い皮膚に覆われたそれは、鋭く勃ち上がりまるで雄々しくも凶々しい劔のようだ。
…切っ尖からは早くも欲望の牡液が滲み出ていた。

長大で硬く勃ち上がる牡に、瑞葉はそっと頬を寄せた。
「…八雲…すき…」
ゆっくりと唇を近づける。
先端に口づけし、そっと口に含む。

「…っ…」
頭上で八雲が息を飲む気配がする。

…瑞葉はまだ男に口淫を施したことはなかった。
八雲に促されたこともない。
彼は、真綿に包むように瑞葉を愛した。
時には際どい体位を取らせることはあったが、奉仕させることは一度もなかった。

未だに瑞葉は八雲から甘やかで濃密な蜜のような性愛のみを与えられていたのだ。

…けれど…。

「…んんっ…は…あ…んんっ…」
男の牡は瑞葉の可憐な唇と狭い口内には余りに大きくて、全てを含み切れない。
瑞葉は必死で舌を遣う。
牡の幹を仔猫がミルクを舐めるように丹念に舐める。
…そうしているうちに、男の牡は更に硬度を増し、嵩高く変化し、瑞葉に甘いため息を吐かせる。


「…あの男…。
あの男が貴方に穢らわしい欲望を抱いていたことは、最初から分かっていました」
八雲の低く美しい声が淡々と鼓膜に響く。

「…っ…」
血だらけで倒れこむ有島の残像が脳裏に浮かび、瑞葉は瞼を閉じて口淫に集中しようとする。

懸命に舌を遣う瑞葉の蜂蜜色の美しい髪を掴み、男が強引に己れに引き寄せる。
「…んんっ…!」
狭い口内に熱く昂った長大な牡が押し込められ、思わず呻く。
八雲の大きく美しい手が瑞葉の頭を鷲掴みにして、卑猥な往復運動を促す。
「…は…ああ…んっ…!」
「…あの男に脅され、貴方が私たちの情事を見せた時、私は腹立たしく思いました。
…なぜそんなに大切なことを、貴方は私に相談もしないで決めたのかと…」

八雲の声が冷たく尖る。
瑞葉は牡を咥えたまま、不安げな眼差しで男を見上げた。

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