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エメラルドの鎮魂歌
第2章 その薔薇の秘密は誰も知らない
男は美しい獲物を追い詰めるようにじりじりと距離を詰め…しかし飽くまで優しく語りかけた。
「…何もいたしませんよ。…私は美しいものが大好きなのです。
貴方のお美しいお貌をよく見せていただけたら、すぐに退散いたします。
…貴方の秘密も話したりもしない。約束しますよ…」

瑞葉は、家族と八雲…そして主治医と家庭教師、数える程の使用人しか貌を合わせたことはない。
話をしたこともない。
この、大層な伊達男だが素性の知れない男に見つめられ…しかも自分の最大の秘密を暴かれ、混乱しきっていた。
「…いや…!…こないで…お願い…」
震えながら貌を背ける瑞葉に、男はしなやかにその手を伸ばす。
蜂蜜色の長い髪を梳き上げ、その形の良い白い顎を持ち上げる。
じっと瑞葉の貌を見つめ、感動を露わに言葉にする。
「…何という美しい瞳だ…!極上のエメラルドの瞳…!こんなにも美しい翠色の瞳を私は初めて見ました。
黄金色の髪といい、透き通るような白い肌といい…正に芸術品と言っても過言ではないほどだ…。
薫子様はドイツ人のお母様をお持ちだったと伺いましたが…隔世遺伝で貴方に受け継がれたのでしょうね。
完璧なゲルマン人でもここまでの金髪は珍しいというのに…。
夫人はなぜ、このように類い稀な美しいお孫様を屋敷に閉じ込めておこうとなさるのか…全く理解に苦しみますね」
「…いや…触らない…で…」
身を攀じる瑞葉を壁に手を付き、さりげなく追い詰める。
男の成熟した魅惑的な瞳がきらりと光った。
「…なぜ、足がご不自由だと嘘をつかれているのですか?」
瑞葉の貌が蒼ざめる。
「…そ…それは…」
貌を背ける瑞葉に穏やかに…しかし、決して逃さないように、その瞳を捉える。
「…何か訳がおありなのでしょう?
私にお話しされてはみませんか?
お伽話の姫君の様に麗しい貴方が…幽閉のような生活をされているなど、余りにもったいないことだ。
…私に力になれることがあるかも知れません」
そのまま顎を掴まれ、ゆっくりと貌を寄せられたその時…。

慌ただしい靴音が、廊下から響いた。
扉が開く音と共に、緊迫した声が聞こえてきた。
「瑞葉様。今、大きな音がしたようですが、大事はございませんか?」

瑞葉は、はっと振り返り、貌を強張らせた。
恐れていたことが、起こってしまった。
…どうしよう…八雲に…知られてしまう…!
「八雲…!」





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