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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
「え?お祖母様がそう仰ったの?
僕も和葉の誕生日お祝いの席に行っていい…て?」
瑞葉が信じられないように、そのエメラルドの美しい瞳を見開いた。
「はい。そのように仰いました」
瑞葉の美しく長い金髪にブラシを入れながら、八雲は答える。
瑞葉の蜂蜜色の髪は、背中半ばまで伸びていて…まるで中世の西洋の姫君のようだ。
鏡台の中の瑞葉の表情が喜びに輝く。
「…夢みたいだ。…和葉や、お母様やお父様とご一緒に和葉のお祝いが出来るなんて…。
ねえ、八雲。和葉の誕生日のプレゼント、どうしよう?何がいいかな?
…それから…何を着たらいいかな?
晩餐の席に行ったことがないから、どんな格好をしたらいいか分からないよ…」
珍しく口数多くやや興奮したように話す瑞葉から、彼が如何に喜んでいるかが如実に伝わる。
八雲の胸が締め付けられるように痛んだ。
瑞葉が今まで家族と遮断されていたことを、どれほど寂しく感じていたのか…。
今更ながらに思い知らされたのだ。
…だが一方で八雲は危惧していた。
あの薫子が、何故急に瑞葉を受け入れようとしたのか…。
今まで強硬に瑞葉を幽閉し続けようとしていたのに…。
何か思惑があってのことなのではないか…と疑わずにはいられないのだった。
「…八雲…?どうしたの?」
鏡の中の瑞葉が不思議そうな貌をして、八雲を振り返っていた。
その無垢な美しさと喜びに満ちた貌を曇らせたくなくて、八雲は微笑む。
「何でもありません。
…和葉様へのプレゼントは何が良いか考えていただけですよ…。
お召し物も…ご一緒に考えましょう…」
そう答えながら、瑞葉の華奢な身体を背中から抱きしめた。
伽羅の香りが漂い、瑞葉のはにかんだ温かい笑顔が八雲を見つめた。
…どんなことがあっても、この美しい笑顔だけは守る…。
そのためには、自分は何でもしよう…。
…例え、悪魔に魂を売り渡しても…。
八雲はゆっくりと、蜂蜜色の美しい髪を撫でた。
僕も和葉の誕生日お祝いの席に行っていい…て?」
瑞葉が信じられないように、そのエメラルドの美しい瞳を見開いた。
「はい。そのように仰いました」
瑞葉の美しく長い金髪にブラシを入れながら、八雲は答える。
瑞葉の蜂蜜色の髪は、背中半ばまで伸びていて…まるで中世の西洋の姫君のようだ。
鏡台の中の瑞葉の表情が喜びに輝く。
「…夢みたいだ。…和葉や、お母様やお父様とご一緒に和葉のお祝いが出来るなんて…。
ねえ、八雲。和葉の誕生日のプレゼント、どうしよう?何がいいかな?
…それから…何を着たらいいかな?
晩餐の席に行ったことがないから、どんな格好をしたらいいか分からないよ…」
珍しく口数多くやや興奮したように話す瑞葉から、彼が如何に喜んでいるかが如実に伝わる。
八雲の胸が締め付けられるように痛んだ。
瑞葉が今まで家族と遮断されていたことを、どれほど寂しく感じていたのか…。
今更ながらに思い知らされたのだ。
…だが一方で八雲は危惧していた。
あの薫子が、何故急に瑞葉を受け入れようとしたのか…。
今まで強硬に瑞葉を幽閉し続けようとしていたのに…。
何か思惑があってのことなのではないか…と疑わずにはいられないのだった。
「…八雲…?どうしたの?」
鏡の中の瑞葉が不思議そうな貌をして、八雲を振り返っていた。
その無垢な美しさと喜びに満ちた貌を曇らせたくなくて、八雲は微笑む。
「何でもありません。
…和葉様へのプレゼントは何が良いか考えていただけですよ…。
お召し物も…ご一緒に考えましょう…」
そう答えながら、瑞葉の華奢な身体を背中から抱きしめた。
伽羅の香りが漂い、瑞葉のはにかんだ温かい笑顔が八雲を見つめた。
…どんなことがあっても、この美しい笑顔だけは守る…。
そのためには、自分は何でもしよう…。
…例え、悪魔に魂を売り渡しても…。
八雲はゆっくりと、蜂蜜色の美しい髪を撫でた。