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エメラルドの鎮魂歌
第3章 禁断の愛の果実
使用人たち…特にメイドは瑞葉の美麗さももちろんだが、彼を宝物のように抱いている美貌の執事、八雲にも目が釘付けになった。
普段の無機質で冷淡な表情が嘘のように、彼は腕の中の瑞葉に慈しみの深い愛情の眼差しを向けていたからだ。
深い瑠璃色の瞳を持つ美貌で完璧な仕事をこなす冷静沈着な執事が、こんなにも人間らしい優しい表情をするのかと、誰もが驚きを隠せなかったのだ。
また、美しい乙女よりも麗しく、神秘性を漂わせる瑞葉を抱く八雲は、まるでお伽話の端麗な騎士のようで、二人だけの濃密なやや背徳めいた艶やかな雰囲気も、辺りの人々を魅了するのに充分なものであった。
そして、この薫子からも一目置かれるような異色の執事が、こんなにも大切に庇護している美しい隠された御曹司を、このまま日陰の存在にしておいて良いのだろうかという疑念が、人々の胸に自然と湧き出すのであった。
…しかし、薫子だけはその人々の中で唯一冷たい眼差しを瑞葉に投げつけてた。
「相変わらず弱々しい姿だこと。その髪や瞳の色も益々西洋人に近づいて…。
大きくなったら髪や瞳の色は日本人に近づくなんて、主治医の話は真っ赤な嘘だったのね」
吐き捨てるように言い放つ薫子を遮るように、目の前に着席した瑞葉に、和葉が話しかける。
「今日は兄様と誕生日を祝えてすごく嬉しいよ。
兄様…すごくすごく綺麗だ」
薫子の辛辣な言葉には慣れている瑞葉だったが、そう弟の和葉に庇われ、ほっと花が綻ぶような笑顔を見せた。
「ありがとう、和葉」
征一郎がその場の雰囲気を変えるように、八雲に声をかける。
「さあ、乾杯だ。
…今日は家族が揃った目出度い日だ。
和葉の誕生日をこんな形で祝えて…良かった…」
さすがの征一郎も感慨深げにそう呟いた。
千賀子は涙ぐみながら、母親から見ても息を詰めるほどに美しい…しかし余りにも不遇な我が子をじっと見つめるのだった。
普段の無機質で冷淡な表情が嘘のように、彼は腕の中の瑞葉に慈しみの深い愛情の眼差しを向けていたからだ。
深い瑠璃色の瞳を持つ美貌で完璧な仕事をこなす冷静沈着な執事が、こんなにも人間らしい優しい表情をするのかと、誰もが驚きを隠せなかったのだ。
また、美しい乙女よりも麗しく、神秘性を漂わせる瑞葉を抱く八雲は、まるでお伽話の端麗な騎士のようで、二人だけの濃密なやや背徳めいた艶やかな雰囲気も、辺りの人々を魅了するのに充分なものであった。
そして、この薫子からも一目置かれるような異色の執事が、こんなにも大切に庇護している美しい隠された御曹司を、このまま日陰の存在にしておいて良いのだろうかという疑念が、人々の胸に自然と湧き出すのであった。
…しかし、薫子だけはその人々の中で唯一冷たい眼差しを瑞葉に投げつけてた。
「相変わらず弱々しい姿だこと。その髪や瞳の色も益々西洋人に近づいて…。
大きくなったら髪や瞳の色は日本人に近づくなんて、主治医の話は真っ赤な嘘だったのね」
吐き捨てるように言い放つ薫子を遮るように、目の前に着席した瑞葉に、和葉が話しかける。
「今日は兄様と誕生日を祝えてすごく嬉しいよ。
兄様…すごくすごく綺麗だ」
薫子の辛辣な言葉には慣れている瑞葉だったが、そう弟の和葉に庇われ、ほっと花が綻ぶような笑顔を見せた。
「ありがとう、和葉」
征一郎がその場の雰囲気を変えるように、八雲に声をかける。
「さあ、乾杯だ。
…今日は家族が揃った目出度い日だ。
和葉の誕生日をこんな形で祝えて…良かった…」
さすがの征一郎も感慨深げにそう呟いた。
千賀子は涙ぐみながら、母親から見ても息を詰めるほどに美しい…しかし余りにも不遇な我が子をじっと見つめるのだった。