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愛のムチ
第2章 練習試合

 「ちょっと皆!男子も試合があるんだから、先輩の集中力がなくなるようなことしちゃダメでしょ!? 」


 先輩を擁護するつもりだったのに


 「何よ亜美、ヤキモチ?」


 冷たく言われてハッとした。

 そう……なのかもしれない。

 先輩が誰かとあんなことをするなんて嫌だ。


 「ち、ちがうもん!ただあたしは先輩に無駄な労力を使わせたくないだけ」


 自分の中に芽生えた嫉妬心を打ち消そうと適当な理由をつけて誤魔化す。

 だって、先輩はあたしのものじゃないのに。

 誰かと同じようなことをしていてもおかしくないし、そのことをあたしが嫉妬する権利なんかない。それなのに


 「亜美、こんなことで集中力がなくなったりはしないから大丈夫。それに案外無駄じゃないかもな?」


 あたしを庇うようにこちらを見て優しく微笑んでくれた先輩は、表情を引き締めて部員たちに指示を出した。


 「じゃ、気合入れるぞ。全員ボールを持て。いいか?ボールはトモダチだ。お前らのことを気持ちよくしてくれる。床に置いて寝そべってそのボールでクリを刺激しろ」


 「えー、先輩ので気合入れて欲しいのに」

 
 「試合で勝つためだろ?勝てたらご褒美をやるから頑張れ」


 不満を口にした部員もご褒美という言葉に満足したのか、肘だけを立てて脚を投げ出して腹ばいになった。


 「よく腰を動かせよ。イイところに当たるように」

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