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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第8章 あの人の事がよく分からない…

返答に困る質問をされて、ますます顔を上げられなくなる。
「気持ち良かったです」なんて言ったら、絶対からかわれる…

「…そうだ!会社…ううっ」
「あんまり無理に動かさない方がいいよ?それにまだ時間はあるから、焦らなくてもいい」

確かに時計には5時と表示されている。

「もう少し寝てる?チェックアウトまで時間あるから」
「…もう起きます」
「それじゃ、シャワー浴びておいで。腰は痛むけど立てるよね?」
「はい…」

ノロノロと立ち上がり、スーツを片手に浴室へ向かう途中で繁正さんの方を向いた。
ベッドに座ったままで、今度は一緒に入らないんだ…

「なに?そんな見つめて。一緒に入って欲しい?」
「な、何も言ってません!」

シャワーを浴びてスーツを着ると、荷物から化粧ポーチを取り出す。

「どうする?家に帰る?」
「そうですね。財布も取りに戻らないと」
「電車賃はあるの?」
「はい、定期は財布と別に持っていたので」



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