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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第8章 あの人の事がよく分からない…
まだ早い時間帯で良かった…
もし会社の人に見られたら、面倒くさい噂を流されそう…
「昨日の…あの人達が話してた事なんですけど…」
「うん」
「どこらへんから聞いてたんですか?」
「君の事を貶めてる発言のとこからかな?君が喫煙室の前で立ち止まってるのを見かけて、近くに寄ったら聞こえたんだよ」
その後は何を話せばいいか分からず、繁正さんも眠たそうにしていたので、お互い無言のまま目的の駅に着いた。
「もし良かったら、一緒に出社する?」
「いや、それはお断りします」
「そう?じゃあ、また会社で」
ここはアッサリ引き下がるんだ…
「昨日はありがとうございました。お礼は今度…」
「いいよ…いや、そう?だったら、今度何かしてもらおうかな?」
良からぬ事を考えているのか、口の端が上がったのを見て、軽く会釈をして自分の家の方に向かった。
余計な事言っちゃったな、断ったら写真で脅されるだけじゃない…
部屋に戻ると、夜の仕事で持っていく鞄の中身を確認した。
「あった…やっぱり鞄に入れっぱなしだった…」