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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第8章 あの人の事がよく分からない…
青い顔をしたまま、財布からお札を取り出して私に握らせると、足早にこの場から立ち去った。
状況が掴めず、ポカンとしてる私に繁正さんは微笑んだ。
「余計な事しちゃったかな?」
「いえ、ありがとうございました。私がしっかりしていたら、原田さんにご迷惑をお掛けしなかったんですけどね…」
出社して人が増えてくると、こちらをチラチラ見てくるのが気になって仕方ない…
「…すみません、そろそろ人が増えてきたんで」
「そうだな。それじゃあ、佐々木さん」
遠ざかる後ろ姿を見送ってから、仕事の準備に取り掛かった。
ーーーーーーー
「あれ?舞ちゃん今日は社食?」
「うん、お弁当作る気になれなくて…」
「珍しいね」
木曜日以外はお弁当を作っているが、今日は朝帰りで作る時間が無かったので、社食で済ませる事に。
選んだのは生姜焼き定食。
「そういや、今朝親会社の人と居たけど、どうしたの?」
「…昨日資料探しを手伝って、そのお礼を言われてたの」
「ふーん、昨日って合コンじゃなかった?」
「…その資料探しが結構時間掛かっちゃって、間に合わなかったんだ」