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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第8章 あの人の事がよく分からない…
「早く返すって急ぎなのか?」
「ええ、一応…」
「お前のとこお姉さんが居るんだろ?借金を一緒に返そうって話はしなかったのか?」
「…お姉ちゃんは借金の事は知りません…」
「はぁ?何でだよ」
ずっと笑顔で輝いている姉が不幸になる所は見たくなかったから…
苦しい思いをするのは私だけで良い…
昔からそれに慣れているから…
姉は何も知らなくていい…
黙ってしまった私に、店長は何か察したのか特に言ってこなくなった。
「まあ、お前が決めた事なら口出しはしないけどよ、あんまり無理はすんなよ。何かあったら俺を頼れよ、雇い主なんだから」
「ありがとうございます」
「しかし偉いよな、親父さんの借金を返してよ」
その借金だが、私ですらよく分かっていない部分がある。
それは、何のための借金なのか?
ギャンブルや高価な買い物をした形跡も無く、誰かの借金の肩代わりをしたのかも不明…