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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第8章 あの人の事がよく分からない…

女だとバレないようにするために、ぶっきらぼうな返事になっちゃった…
だけど、茜さんはそれに気が付いてないようで、にこやかに話してくれる。

「よろしくお願いします。マスターとは幼馴染みなんだ。理不尽に怒られたら私に言ってね」
「おい、俺はパワハラなんてしねぇぞ!」
「えーでも、見た目が怖いもんねー」

2人の様子を見て、連れの男性が驚いていた。

「長野さん、ここのマスターと幼馴染みなんすか?」
「うん、家が近所でね、お兄ちゃんみたいによく遊んでくれたんだ」

ちょいコワモテの店長の子ども時代、気になる…

「後輩連れて飲みに来たのか?」
「うん、飲み会の後で『落ち着いた場所で飲みたい』って言うから」
「うちを選んでいただいて、ありがとうございます」

メニュー表を見て、連れの2人はすぐに注文した。

「俺はダイキリで」
「私ピーチソーダ」

茜さんはメニューを見たまま黙り込んだ。

「……」
「茜、一応ジュースもあるぞ」
「本当に?」

店長から指示され、カクテル用の氷をグラスに入れて、オレンジジュースを注ぐ。
後輩をバーに連れて来たけど、本人は飲めないのかな…?




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