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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第9章 始めて見た時は、君しか見えてなかった…
言い終わると、繁正さんはモンブランを黙々と食べ始めた。
いつもは意地悪な事しか言わないくせに、急にベタ褒めされて妙に居心地が悪いような…
「舞花ちゃんは…」
「はい」
「お姉さんの事は好きだけど、苦手じゃない?」
「……っ!!な、何で、そんな事…言うんですか」
心の奥に踏み込まれ、何か喋ろうとしても喉に引っかかったように、途切れ途切れになってしまう。
「近いけどどこか遠い感じがして…さっき『お姉さんに似てる』って俺が言った時、喜んでいいのかどうか微妙な顔してたよ」
「そ、それだけで苦手だとは分からないでしょ!?」
図星だと勘付かれたくなくて、必死になる…
今まで誰にも話さず、心の奥に埋めた感情をこの人には知られたくない…
「初めて俺の部屋に泊まった時にお姉さんの話をしてくれただろ?その時も話し方は尊敬はしているけど、浮かない表情で話してた…」
「……」
「お姉さんは有名な企業で働いて結婚もして、君には憧れだけど、眩し過ぎて嫌になるんじゃないのか?」
「…たった5分程しか会ってないのに、どうして私と姉の事を分かったように言うんですか!?」