パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第9章 始めて見た時は、君しか見えてなかった…

なるべく声を抑えて繁正さんに尋ねる。

「俺にも兄が居るんだよ。兄はエリートだから、比較される事も多かった。だから君の気持ちがよく分かる」
「そうですか…」

同じ気持ちの人が居るんだと分かり、抑えていた自分の気持ちをぶつけてしまった。

「比較されると辛いですよね。何でも出来る人だと特に…周りからチヤホヤされて、それで性格が悪いんならまだしも、謙虚なんですよね。余計に周りが好感を持って…私が比べられる…
こんな話、直接言えずに繁正さんに言ってる私の方が性格悪いですよ」

「何も無いわけないだろ。仕事だって頑張ってるし、借金だって、あっ…」

繁正さんが口籠ったのにも気付かずに喋り続けた。

「父親の借金だって、私だって何か出来る事を証明したかったんです。姉に内緒にして…」
「…お、お姉さんは借金の事知らないのか？」
「はい、ちっぽけなプライドから知らせたくなかったんです。でも、結局伯父さんに肩代わりしてもらって、夜の仕事もして…私は…」



「ねぇ、借金って何の事？」

背後から掛けられた言葉に、私は固まってしまった。