この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘めた花は彼の腕の中で咲く
第11章 君に危害が及ぶ前に身体が勝手に動いてたんだ…
「さっきの質問…寂しかった?」
「別に…」
「そう、残念」
大切なお客様に塩対応なんて、店長が見てたら怒っただろうな…
「今日は…ウイスキーが飲みたいな」
「かしこまりました」
氷塊を取り出し、アイスピックで丸く削っていく。
浮ついた煩悩も一緒に削り落とすように…
「氷作るのも上手いよね。何処かで修行してたの?」
「大学の時にバーでアルバイトをやってたので」
「大学でバーの仕事は経験済みか。その氷を丸くする方法って、店によって包丁かアイスピックで分かれるけど、君はどっちがやりやすいの?」
「僕はアイスピックですね、昔働いてたバーもピックで丸くしてたので」
「へー。使いやすいかはその人の慣れっていうのもあるかもね」
綺麗な球体になった氷をグラスに入れ、ウイスキーを注ぐ。
「どうぞ」
「ありがとう」
目を閉じてグラスに唇を付け、ゆっくりと口の中に流し込んだ。
…って私、繁正さんが飲んでるシーンに見惚れてるの!?