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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第11章 君に危害が及ぶ前に身体が勝手に動いてたんだ…

店長の鋭い指摘に声を上げそうになったが、喉まで来たところで何とか口を噤んだ。
店長には女である事がバレてるって知られても構わないけど、後でからかわれて色々面倒くさいから誤魔化さないと…

「いやいや、ここでしか相手してないのに、女だってバレる訳じゃないですか。店長なんでそうだって考えるんですか?」
「いや、普段客の相手をしないお前が、あの人と話してる時は嬉しそうに相手してるから…」

嬉しそう?

また姉の言葉が頭に浮かび、赤くなった頰を手で隠す。

「もしかしたら、プライベートであの人と遊んでるんじゃないかと思ってな…お前普段はそんな格好してないだろ?」
「ま、まぁ…」

追い詰められているような雰囲気の中、どんな言い訳をしようと考えていたら、いきなり机を叩く大きな音がした。

「な、何ですか…?」

音のする方を見ると、テーブル席に座るカップルと先程入店した男性が言い合いをしている。
と言うより、手前に立つ男性がカップルに向かって何か怒鳴っていた。



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