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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第11章 君に危害が及ぶ前に身体が勝手に動いてたんだ…
恐る恐る瞼を開くと、繁正さんが男性の手首を捻っていた。
痛いのか、顔を歪めながら繁正さんを睨む。
「ココで物騒な物出すなよ。マスター警察は?」
「呼んであるが、しばらく時間が掛かるらしい。ビニール紐ならあるから、そいつを…」
「ぬおおぉっ!!」
繁正さんの注意が逸れた隙に、男は腕を振り払って繁正さんに馬乗りになった。
「邪魔しやがって…」
「危ない…!!」
「繁正さんっ!!」
柄の部分を両手で握り締め、繁正さんに振り下ろした。
「し、しげ…っ!!」
男の背中が邪魔で、刺された箇所が見え……
「ぐ、こいつ…」
繁正さんは、ナイフごと両手首を掴みながら身体を起き上がらせて、逆に男を押し倒した。
繁正さんの近くに座っていたスーツ姿の男性も飛び出してきて、男を床に押さえ付けた。
ナイフを遠くに放り投げ、店長が投げてよこしたビニール紐を手首と足首に何重にも巻き付ける。
男が拘束されてようやく身体の硬直が解けて、すぐに繁正さんの傍に駆け寄った。
「繁正さん!!」
「大丈夫だよ」
「でも、刺されて!!」