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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第12章 彼女の真似でもしてくれるの?
結局始業時間を過ぎても繁正さんは出社して来なかった。
何かあったのかな…
親会社に戻った、とか…?
でも、土曜日は何も言って無かったし…
うーん、気になるけど、確認する術も無いから余計モヤモヤする…
「佐々木さん」
心配になりつつも仕事をしていると、部長に呼ばれた。
「何でしょうか?」
「悪いんだけど、この書類篠宮さんとこに届けてもらえないかなぁ?今経理に居るみたいだから、お願いね」
篠宮さんは、繁正さんと共に親会社から派遣された社員さん。
もしかしたら…と淡い期待を抱いて、経理へ足を運んだ。
「篠原さんはいらっしゃいますか?」
案内された席に向かうと、篠宮さんは綺麗な姿勢でキーボードをリズミカルに叩いている。
向かいにもう1つテーブルがあるが、そこには誰も座っていない…
「はい」
「こちら山口部長からです」
「ああ、わざわざありがとうございます。本来であれば私が向かわないといけないのに…」
下っ端である私にも丁寧な言葉で話してくれ、また仕事も速いので他の社員からも信頼を置かれている。