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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第13章 それは知られたくなかった
「彼女さん優しいですね」
「そうだね、俺には勿体無いくらいの良い彼女だよ」
「…っ、そ、そうですか?原田さんの彼女さんって凄い素敵なんだろうなー…」
「…なあ舞花ちゃん、誰も居ないんだからいつも通りいこうよ。まだ他人のフリ続ける気?」
後ろから繁正さんに抱き締められ、身体が沸騰したように熱くなる。
誰か来るかもしれないのに、バックハグされた状態で見つかったら…
「あの、離してもらっていいですか?」
「ダメ。せっかく手の傷が治ったんだから、ご褒美ちょうだいよ。ね、俺の素敵な彼女さん」
繁正さんの腕の中ってこんなに心地良いものだったっけ?
温かくて、繁正さんの気持ちが伝わってくるような…
「んっ…」
間近に繁正さんの端正な顔が近付き、キスされると思って顔を逸らした。
「か、会社ですから!」
「おいおい、ムード無いなー」
「全く…」
繁正さんの腕から抜け出し、目的のものを探していると、それは本棚の最上段にあった。
それを取ろうと、備え付けのはしごを使って最上段まで行き、本を取り出そうとすると…
本がみっちり収納されており、指先で抜こうにも抜けない。
「もうちょっと力入れて〜…あっ…!」
「危なっ…!!」