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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第13章 それは知られたくなかった
ブワッと身体が沸き立ち、繁正さんと視線が合わせられなくなった。
恥ずかしくなって、思わず繁正さんの顔と胸元を押し返していた。
「人の往来がある場所ででイチャつかないで下さいよ…」
あー、また可愛くない事しちゃった…
本当は女性らしい格好を褒めてもらえて嬉しいのに、素直に喜びを表せられない…
モヤモヤと考えながら、切符を購入してホームで電車を待つ。
繁正さんが束ねた髪の毛に触れようとした際に、首筋を指が掠めた。
僅かに震えた身体をさすっている間、繁正さんは綺麗に巻かれた髪を観察していた。
「髪型も可愛いね。いつもと雰囲気違って」
「ありがとうございます。雑誌で見たものを真似してみたんです」
「メイクもそうかな?大人っぽくてドキドキする…」
「何ですか?」
「いや、何でもない。今日の舞花ちゃんも凄く素敵だってこと」
久しぶりのオシャレはやっぱり楽しくて、仕事の為の男装とは違い、自分らしくなれたような気がした。
それに、オシャレをしても貶されず「綺麗だ」「可愛い」とお世辞でもそう言ってもらえる事が純粋に嬉しかった。