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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第13章 それは知られたくなかった
デートの行き先は渋谷で、ぶらぶら歩いて気になった店に入るという内容らしい。
「凄いアバウトな内容でごめんね」
「そんな事ないです。どんなお店があるのか楽しみです」
「渋谷って休みの日に行ったりする?」
「久しぶりです」
電車が来て乗り込むと、朝の通勤ラッシュとは違い、人はそれほど多くないが、席は全て埋まっていた。
つり革に掴まっていると、カーブして車体が揺れて前のめりに倒れそうになったが、繁正さんが抱きとめてくれた。
「大丈夫?目眩した?」
「いえ、大丈夫ですよ。久しぶりにヒール履いたんで、ふらついちゃいました」
「そうか。どこか席が空いたら座る?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
体調を気遣ってくれるだけでも嬉しくて、繁正さんの優しさが胸に沁みて、繁正さんが愛しくなった。
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「相変わらず人が多いですね…」
駅から出てすぐ目に付いた人の多さにげんなりしていると、右手を握られた。
「はぐれるから」
「…っ!」