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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第13章 それは知られたくなかった

自宅近くの駅に到着すると、繁正さんはムスッとしながら抱き締めてきた。

「し、繁正さっ…」
「親父のとこに行きたくないなー…あの人とは毎週会ってるのに、全く…」
「あははっ、私から見たら、お父様と仲良しなの羨ましいですけど」
「今日だって、色々予定を立ててたのに全部台無し…」

慰めるように背中を撫でると、耳をカプリと咥えられ、身を震わせた。

「しげ、まさ…」
「次のデートでは、朝まで離さないから」
「……っ!」
「近いうちにまたデート行こうね」
「は、はいっ!」

触れるだけのキスをして、繁正さんと別れた。
フワフワした気持ちのまま帰ると、マンションの前に居る足が止まった…

「…伯母さん、どうしてここに!?住所教えてないのに…」
「どうでも良いでしょ?あんたが話を全然聞かないから、直接来たの」

お見合いの話を持ってこられてから、連日のように電話が掛かってきていた。
最初は「しない」「迷惑」だと伝えていたけど、話を聞いてくれないので電話に応じないようにしていた。

「お見合いは断ってるじゃない!お見合いをする気もないし、持ってこられても迷惑だって」




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