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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第13章 それは知られたくなかった
「本当にお父さんの遺産なんて無いの」
「幸久の遺産をアテにしてたのに、どうしてくれるのよ!?代わりにあんたが払いなさいよ」
「何で私なの!?私だって迷惑だよ。連帯保証人でも無いのに、500万なんて払うわけないでしょ!?」
可愛がってない姪が反論した事に伯母はキレたのか、顔を真っ赤にして身体を掴んで揺さぶってきた。
私より身体が小さいのに力が強く、このままでは車道に飛ばされそう…
「だったら、そこら辺にいる金持ちでも身体で捕まえて来なさいよ。それくらいなら出来るでしょ!」
「やめてって…」
「何してるんだ」
急に伯母と引き離され、後ろから抱き留められた。
「し、繁正さんっ…!」
「大丈夫?」
「は、はい…」
繁正さんの声を聞いて、気持ちが緩んで泣きそうになった。
繁正さんは私を守るように前に立つと、伯母はなおも顔を歪ませて繁正さんに掴みかかろうとした。
「どきなさい!」と叫んだところで伯母から着信音が聞こえた。
『清美!お前何やってんだ!!』
「兄さん…えっと…今ちょっと出掛けてて…」
少し離れた私にも聞こえるくらいの伯父の怒声に、伯母はさっきの強気な姿勢から一変し、弱々しい声で伯父に言い訳をする。