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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第15章 大事なものが離れていく
安心すると、力が抜けて目から一筋涙が流れ、繁正さんが指で拭ってくれた。
ホッとする反面、私のワガママで繁正さんの将来を潰してしまうんじゃ…と心配になった。
「でも良いんですか?お断りしたら、上司の方に泥を塗ってしまうんじゃ…」
「ドタキャンじゃないし、お見合いを断ったところで怒る人じゃないよ。それにきちんと説明すれば分かってくれるから大丈夫」
唇を舐められ、耳を優しく撫でられる。
気持ち良くなって、思わず繁正さんの手を握ると困ったように笑った。
「本当は今すぐ連れて帰りたいけど、明日は用事があるから…ごめんね」
「いえ、我慢出来ますから」
「いい子。でも我慢出来なくなったら、連絡して。俺も連絡する」
先程まで胸に溜まっていた不安な気持ちはまだ残ってはいるものの、お見合いの事ちゃんと話てて良かった。
これなら出張中離れていても大丈夫…
「おやすみ。また会社で」
「はい、送ってもらってありがとうございました。おやすみなさい」
「……はぁ…どうしたもんかな…」