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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
「鮭ハラスおにぎり」と書かれた袋を一度返すと、玲奈さんは袋を開けてこちらに渡してきた。
ここまでしてもらって断るのは悪いと思い、一口かじってみた。
「…美味しいです」
「でしょう?鮭の脂がお米に染みて美味しいんだよねー。チキンちゃんも買ったから一緒に食べよー」
もう一つのコンビニ袋から唐揚げを取り出して、爪楊枝を刺して私に差し出した。
「おにぎりいただいたのに、唐揚げまで…玲奈さんの食べる分無くなっちゃいますよ」
「美味しい物いっぱいあるとさ、食べ切れないのについつい買っちゃうんだよね。それに、一緒に誰かと食べた方が美味しいじゃない?」
「そうですね、ありがとうございます」
玲奈さんの優しさが今の私にはありがたい…
だけど、この様子だと繁正さんから何も聞いてないのかな?
「そういえば、しげとはどう?上手くいってる?」
「んっ!?繁正さんとですか…」
「あなたとの事全然教えてくれないからさー、舞花ちゃんにアイツとどうなってるのか聞こうと思って…」