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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在

声が喉に詰まって、上手く返事が出来なかったが、玲奈さんは気付かれなかった。

「また今度しげと一緒にご飯食べましょ!じゃあね!」
「はい、楽しみにしてますね」

玲奈さんの後ろ姿が見えなくなると、壁に寄り掛かって両手で目を覆った。
玲奈さん、約束果たせなくてごめんなさい…

ーーーーーー-

「はぁ…」

バーの開店前の掃除中に思わず溜め息が漏れて、店長にモップで突かれた。

「接客業なんだから暗い顔すんなよ」
「すみません…」
「次の仕事どうするか考えてるんだろ?」
「はい。来週ソフトウェア開発の会社に面接が入ってるんです」

そこは初めて働いた会社と同じソフトウェア開発に携わっている。
最初の会社では辛い目に遭ったが、今度は大丈夫。

「ソコは仕事の知識があるから、ある程度は大丈夫か」
「はい、ただ仕事が遅くまで立て込むと思うんで、こちらの仕事と両立するのは難しくなると思います…だから…」



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