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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
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「はぁ…」
パソコンを前にして、今日何度目かの溜め息を吐いた。
パソコンの画面は数日前に面接したソフトウェア開発の会社からのメールを映している。
内容は先方から不採用の通知、いわゆる「お祈りメール」が届いた。
「自主退職でも、年度末に辞めると不自然に思われちゃうかなー…」
ベッドに寝転がって、求人誌に手を伸ばそうとして動きを止めた。
……繁正さん元気かな…
そろそろ帰って来る頃だと思うけど、気を付けて帰ってきて欲しいな…
せめて、あなたの口から別れを告げて欲しかった…
男装をバラされて退職に追い込まれたのに、あなたが好きだから、心の何処かであなたを求めてしまっている。
今まで気持ちを引きずった事なんて無いのに、それだけ繁正さんに惹かれてたんだな…
ブーブー…
「誰からだろ?はい…ああ、伯父さんどうしたの?」
『舞花、いま家か?』
「うん、そうだけど…」